洗車は車のメンテナンスにおいて非常に重要ですが、洗車後に残る水シミは多くの車愛好家にとって悩みの種です。純水洗車を導入することで水シミを防ぐだけでなく、車の美しい輝きを長持ちさせることができます。この記事では、純水洗車の効果と純水の品質管理の重要性について詳しく説明します。
純水とは?
純水は通常の水道水とは異なり、不純物がほとんど除去された水です。水道水には一般的にカルシウム、マグネシウム、塩化物、硫酸塩などのミネラルやイオンが含まれています。純水洗車では、これらの成分を除去した純粋な水を使用するため、水が蒸発したときに残る残留物や水シミの発生を回避できます。
純水洗車の主な効果
【水シミ防止】
通常の水道水を使った場合、蒸発後にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが白いシミとして車の表面に残りやすいです。純水洗車はこれらのミネラルをほとんど含まないため、蒸発後にシミが残りません。
【透明感と輝き】
純水を使うことで、車の表面に透明感が生まれ、より輝く仕上がりになります。純水で洗車を行うと車のボディーに透明感が出る理由は、純水の特性に由来します。以下に詳しく説明します。
◎ミネラルや塩類の不在
純水は、通常の水道水に含まれるミネラルや塩類がほとんど含まれていません。したがって、洗車後に水が蒸発してもミネラルの残留物や白いシミが残りません。この結果、車の表面がクリアで輝く仕上がりになります。
◎化学薬品の影響を減らす
純水には不純物がほとんど含まれていないため、洗剤やワックスなどの洗車用化学薬品の効果を最大限に発揮させます。通常の水道水に含まれる塩類やカルシウムなどのイオンは、化学薬品の作用を阻害することがあり、純水を使うことでこれらの影響を排除できます。
◎洗浄力の向上
純水は、通常の水道水よりも表面張力が低く、車のボディーの表面により均一に広がります。これにより、洗浄やすすぎの際に汚れがしっかりと洗い流され、透明感のある輝きを得ることができます。
◎仕上がりの持続性
純水を使うと、ミネラルの残留が少なく車の表面に透明感が出やすいだけでなく、ワックスやコーティングの効果が長持ちしやすくなります。これは、余計な不純物がコーティング層を覆ってしまうリスクが低いためです。
これらの理由から、純水で洗車すると、ボディーに透明感が出てより美しい仕上がりになります。
【コーティングの持続性】
純水は不純物をほとんど含まないため、洗車後のコーティングやワックスの効果を最大限に発揮させ、持続性を高めます。ミネラルがコーティングの効果を阻害するリスクが減るため、長期間にわたって美しい状態が保たれます。
【クリーニング薬剤の希釈効果】
純水は水道水よりも洗剤やコーティング剤の希釈に適しています。化学的な干渉が少ないため、クリーニング薬剤の性能がより正確に発揮されます。
純度管理の重要性
これまで、純水洗車の様々な効果を述べてきました。純水の生成方法には逆浸透法やイオン交換法、蒸留などの方法がありますが、P’s GARAGEでは水の中に含まれる陽イオンおよび陰イオンを吸着し、代わりに水素イオン(H+)及び水酸化物イオン(OH-)を放出して純水(H2O)を造り出すイオン交換法で生成しています。純水器は信頼性の高いサンエイ化学株式会社様のカートリッジ純水器(35L)を採用しました。純水の純度を維持するためには、信頼性の高い純水器の導入に加え、適切なタイミングでのイオン樹脂の交換が不可欠です。
では、この「適切なタイミング」とはどのようなタイミングなのでしょうか。
純水の純度を測るための指標には、電気伝導率やイオンの含有量、全有機炭素(Total Organic Carbon、TOC)などの数値が用いられます。
◎電気伝導率
純水の電気伝導率は一般的に0.1~10 µS/cm(マイクロジーメンス/センチメートル)程度とされています。超純水になると、0.056 µS/cm以下(18.2 MΩ・cm以上)という極めて低い値が求められます。
◎イオン含有量:純水のイオン濃度は非常に低く、ppm(パーツ・パー・ミリオン)やppb(パーツ・パー・ビリオン)といった単位で測定されます。超純水では、カチオン(ナトリウム(Na⁺)、カルシウム(Ca²⁺)、マグネシウム(Mg²⁺)など)やアニオン(塩化物(Cl⁻)、硫酸塩(SO₄²⁻)、硝酸塩(NO₃⁻)など)の総濃度が1 ppb以下になる場合もあります。
◎全有機炭素(TOC):純水のTOCレベルは通常1 ppm以下、超純水では1 ppb以下とされています。医薬品や電子機器の製造など、純度の高い水が必要な分野では、TOCが特に重要です。
これらの基準は用途によって異なるため、必要な純度に応じて製造や管理が行われます。
洗車に使う純水の純度測定では、主にTDS(Total Dissolved Solids、総溶解固形物)測定器が用いられますが、これは溶解しているすべての固形物(主にイオン)の濃度を測定するための機器であり、主に電導率計に分類されます。電導率計は、水中の電気伝導度を測定し、その値を元に総溶解固形物の量を推定します。
洗車の際に水シミを防ぐために純水を使う場合、TDS測定器で表示される値について、専門の洗車プロバイダーや純水システムを提供する企業それぞれが出している見解では通常0~10 ppm程度が理想的で、20 ppmまでを許容範囲とするのが一般的なようです。
◎例1
多くの専門家やメーカーは、水のTDS値が20 ppm以下であれば水シミの発生を大幅に減らせると提案しています。
NitPickin Mobile Detailing(https://www.nitpickindetailing.com/post/watertreatmentfordetailers)
◎例2
CR Spotlessのようなメーカーや業界専門家は、樹脂フィルターの交換タイミングとしてTDS値が20 ppmに近づいた際を推奨しています。
Obsessed Garage(https://www.obsessedgarage.com/blogs/og-knowledge-base/di-water-systems)
P’s GARAGEでは、TDS値0~上限5 ppm純度の純水をご提供することをポリシーとしており、毎日業後に、TDS測定器による測定と、TDS値が5 ppmに達した際の即日交換を遵守しています。
今後も、このポリシーを貫き、お客様に安心して洗車をお楽しみいただけるよう努力し続けます。
すすぎの工程で純水を使えば水シミを防ぐことができる? → P’s GARAGEが「全工程純水洗車」にこだわる理由